【2021年シーズン第14節】ヤンプターズの底力。
上海草野球ファン並びにヤンプターズファンの皆様。
大変お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。
今回のブログ記事は元・ブログ担当、現・“仕事忙しいふりしてチームメンバー全員に持ち回りでブログ書かせるマン”の大石が送りします。
いや、謙遜でこのように申し上げましたが、本当に仕事が忙しすぎて毎日白目剥きながら働かざるを得ず、ブログ書く暇が有ったら飯食う時間を捻出したいくらい仕事に追われているのが実態です。その疲れ・ストレスの唯一の発散として毎週土曜日の野球を楽しみに生きている状況です。もちろん俺も試合を振り返りたいさ。最高の仲間との試合結果を面白おかしく綴ることで更にヤンプターズの活動に彩を添えたいさ。でもね、ほんとに労働によるストレスという名の現代社会の闇を一身に抱え、仕事終わりにタクシーに乗った際に話しかけた中国人ドライバーには“アァ!?”という恫喝とも取れる圧で返答され、心はズタボロなのです。許して、ほんと許して。ごめんなさい、チームの皆。
とまぁ、自分がブログの更新をサボる、いや、もとい、どう頑張っても更新できない言い訳をつらつらと述べたところで、今週の試合を振り返っていきましょう。
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自力による決勝トーナメント進出の道を断たれたヤンプターズだが、決勝トーナメント前のリーグ戦最終節。この試合は勝っても負けても決勝トーナメント進出可否には何の関係もない試合だが、負けてもいい試合なぞこの世に一つもない。常勝軍団ヤンプターズ、この日はリーグ戦最終節ということもあり17人の選手、いや戦士が終結。もはやチーム内で紅白戦出来るくらいの人数規模感。前日の雨模様も気になるところではあったが、参加者全員がてるてる坊主を作って拝み倒していたのだろうか、朝には既に曇り空程度に落ち着いていた(尚、筆者はてるてる坊主作ってませんでした。すんましぇん)。
いつもはマイクロバスにより会場に向かうのだが、この人数はマイクロバスでは収容しきれず、大型バスでの移動。あの遠足で行くようなマジでかいバス。車内の空間を広々と使い、リラックスしたムードで会場に向かうヤンプターズ一同であった。
今日のスタメンに目を向けてみよう。
1番サードは三木。言わずと知れた上海随一の野球エリート。目が細すぎてコンタクトレンズが入らないとの噂だが、野球の腕前は疑う余地が無い。逆に目が細いことによってボールゾーンに来る球は視界に入らないが故にめちゃくちゃ選球眼がいいという謎理論も提唱されているらしい(大石がこの理論を提唱し、信奉者も大石のみとの説が業界内での共通認識)。今日も華麗な守備と堅実な打撃がみられるか。
2番はセカンド坂本。今シーズンは圧倒的な長打率を記録しているが、足の捻挫、右肩の脱臼と満身創痍。しかし、日々の筋トレで鎧の様な肉体をまとい、フィジカル面の不安は感じさせない。今日はセカンドでの出場という今までにない采配。起用に答えられるか。
3番はショートに大石。前の試合は欠場となったが、参加した直近の試合では遥か彼方にホームランをかっ飛ばし、おまけにその喜びからヘルメットを取って塁を回りながらはしゃぎ倒していたところ、Youtubeで若干イジられるという恥ずかしい経験を得た。ブログの更新は控えていたが素振りは欠かさず行っているという自己矛盾を大いに孕んだこの男、その成果が今日も見られるか。
4番はキャッチャー筧。約1か月ぶりの参戦となるが、いきなりの主砲の座に君臨。1か月欠場の理由は引っ越し準備であり、引っ越し先は水回りに難を抱える物件であるとの報告を受領しているが、塁を回ることには差支えはない模様。お祭り男でもあるこの男が、ヤンプに勝利を招き入れられるか。
5番はレフトに砂田。軟式でエルボーガードを装着したことをしばしばチームメンバーにイジられるが、そんなことは筆者からするともはやどうでもいい。もうイジられ過ぎて味がしない。私が改めて申し上げたいのは、“Apple watch on the リストバンド”である。リストバンドの上にApple watchを装着することは恐らく、かの天才・Steve Jobsも想定していなかっただろう。彼がこの光景を目の当たりにしたら間違いなくこう言うだろう。“Why Japanese People!?”と。
6番はセンター山田。最近脱毛に通っていることで肌がツルツルであることを鼻にかけるが、生まれてこの方、ずっと剛毛の筆者からすると、もはやただのカネの無駄遣いと言わざるを得ない。そもそもツルツルやったやんけお前。
7番はDHに宗安。漸く長期出張ベースで上海入りを果たした横綱…もとい、重量級スラッガー。今日はそのわがままボディ…もとい、豊満な体…もとい、体格を活かした快音が響くか。
8番にはファーストの中西が控える。最近入団したこの男、京都出身でタカの会社の先輩。中山公園に住むものの、浦西に住まう皆が集合する古北には寄らず、浦東に位置する球場にタクシーでダイレクトインという業界初の極めて斬新なロジスティクスを起用。コスト的には全くペイしない。過去にも中国に駐在経験があるとのことだったため、恐らくあのタクシー運ちゃんの“アァ!?”に物怖じすることもないのだろう。大学迄野球にのめり込んだ、はんなり京都人、どんなプレーを見せるのか。
9番にはライト中井。誰にでも敬語を使うこの男、つい先日は蟻にも敬語を使っていたという目撃談を入手した。そしてヤンプ随一のオシャレ番長でもあるが、久々のスタメンライトの座を奪取。高校までサッカー部に所属し、野球の経験はこれ迄略皆無という期待のファンタジスタ、ピッチに虹をかけられるか。いや、野球はキャンバスですから。ダイヤモンドですから。
そして先発ピッチャーには剛腕・椿。言わずもがな、全身筋肉重層装甲を施したこの男、仕事では法律を司る。娘の顔を全力で圧縮し、変な顔にしてニヤニヤするという謎の娘溺愛方式を採用しているが、この挙動はコンプライアンス案件ではないのだろうか。
いずれにしても、ヤンプの誇る絶対エース、リーグ戦最終節をしっかりと締めてくれるはず。
ベンチにはキャプテン・山下、飲んだくれ爺・神村、太っちょ忍者・塩谷、残虐非道水鉄砲掃射・長倉、意外と亭主関白・石田、ゴジラ・中邑、そしてヘッドコーチのダミ声ダイエット関西人・魚井が控える。
そんな個性大爆発のヤンプターズ、いざ出陣。
一回表は相手の攻撃。いきなり相手を凡打・三振に切って取り、無難な滑り出しを見せたかに思えたが、その後2アウトからヒットを許すと、相手打線がつながり早々と1失点。続く後続は三振に切って取ったものの、いきなり先制を許す苦しい試合展開。
続く一回裏、ヤンプターズの攻撃。先頭の三木が細い目…ではなく持ち前の選球眼を活かし、四球を選ぶと、続く二番・坂本には送りバントのサイン。全試合でも同様の局面で難なくバントを決めて見せたこの男にとっては極めて容易な指令。
…と思ったが、なんと二球連続でバント失敗。失敗というか、バントの構えのままボールがバットを掠めることもなく、キャッチャーミットに収まったのである。どうした坂本、との皆の不安も他所に、ダミ声娘溺愛関西人の魚井ヘッドコーチからは“最低限の仕事はせぇ”との檄が飛ぶ。そして続くボール、坂本がバットを振り抜くと、フラフラっと力ない飛球がセンターへ。進塁打ともならず、あえなく凡退してしまった。リーグ内でも長打率最上位、OPSも上位につけ、チーム屈指の打率を誇る筋肉若武者らしくない打席であった。
その後3番大石は四球を選ぶも、後続が立たれ逆転ならず。
2回表は3者凡退で難なく切り抜けた椿、漸く本調子かというピッチングを見せる。続く2回裏、先頭の山田が凡退に倒れるも、続く7番は宗安。力士並みの巨躯が打席に向かう。そして迎えた初球、凄まじい体がバットを振り抜く。打球は体とは裏腹に、ゴロがポンッポンッと転がっていき、そのままセンター前まで抜けていく。めちゃめちゃ渋いっす、兄貴。てっきり馬鹿でかい当たり打つかと思ってたら、2番セカンドの小さい左バッターが打つみたいな打球で出塁とは、ニクいっす。
そしてランナーを一塁に置いた状態で、続くは中西。構えは昔の横浜・種田を彷彿とさせるような豪快な構え。そのまま降り抜くと、レフト前に痛烈な打球。シングルヒットとなり、ランナーを進める。
然し、続く中井、三木が続くことが出来ず、この回も無得点に終わってしまう。
3回表も椿が相手打線を3人で切って取る。あまりに2回表と3回表があっさり終わり過ぎて、書くことが無い。筆者泣かせの投球である。
3回裏は、坂本に代わって出場した石田が打席に立つと、四球を選び先頭が出塁。しかし、続く大石がサードゴロに倒れると、このチャンスを生かせず、この回も得点0。刻一刻と迫る試合終了までの時間に対し、なかなか得点ができないヤンプターズに少し焦りの色が見え隠れしてきた。
続く4回表、投手がエース・椿からキャプテン・山下に代わる。ヒリヒリしたこの試合展開、リリーフの山下には大きなプレッシャーがのしかかる。
そして迎えた先頭打者、なんと意表を突いたセーフティバント、転がしたコースは極めて絶妙。意表を突かれたこともあり、ピッチャ―・キャッチャー双方、もはや取って投げても間に合わないタイミング。先頭バッターを出塁させるとは、かなりまずい展開になりそうだ、、、と思ったその刹那。
ショートを守っていた大石の右横に一陣の風が吹く。そう、スーパー野球サイヤ人・三木がサードを守っていたのだ。バッターがバントの構えを見せた瞬間、鬼脚猛チャージをかけ、ボールをグローブで拾うと、難しい体勢から0.000001秒で握り替えを行い、1塁へ転送。
なんと、誰もがセーフになると思った俊足を誇るバッターランナーをアウトに仕留めたのだ。まざまざと格の違いを見せつける三木。目の細さでイジってホントすんませんした。マジで天晴です。
三木の好プレーに助けられ、この回も何とか山下が無失点で切り抜け、4回裏の打撃に想いを繋ぐ。先頭の山田の奮闘むなしく、キャッチャーゴロに仕留められると、ここで代打・中邑。そう、ヤンプの誇るゴジラこと、Godzilla中邑である。ゆっくりとした足取りで打席に向かうと、火でも吹こうかという眼差しで相手投手を見つめる。ピッチャーがもし筆者なら、多分小便チビってることは疑いようがない。
フンッ!!とバットを振り抜くと、高々と上がった飛球がライト線へ。これをなんと、相手ファーストが後ろ向きでキャッチするという大ファインプレー。相手の好守に阻まれ、この回も無得点に終わってしまう。
時間の制約上、最終回となる5回に突入。ヤンプターズの攻撃も5回裏を残すばかりとなり、1点もやれない状況。5回表は0で抑えたいところであったが、先頭にいきなり長打を打たれ、なんと相手の最終攻撃イニングに更に1点を許してしまう。
その後、なんとか相手打線を躱し、最少失点で切り抜けたものの、残る最終回の攻撃を残し、2-0のビハインド。最後の攻撃で3点を入れなければ、ヤンプターズの負けが確定しまうという、崖っぷちの状態となってしまった。
泣いても笑っても最後のイニング。先頭は9番・中井。激オシャ番長、振り抜いたバットはボールを捉えるも、無情にもファーストミットにボールが収まり、1アウトを取られる。然し、ここで落胆するヤンプターズではない。打順は1番と好打順を迎えるのである。
続く三木、2球目を降り抜くと、打ち損じたかに見えた打球はライト前にポトリと落ちるヒット。1アウトから俊足のランナーが出塁。
そして続く打席には、ここで代打・塩谷。この場面でこんなに頼もしい存在はいないだろう。打席に立てば安打を量産、守備に就けばシュアで堅実な守り、グラスを持たせれば(ある特定の)若手の飲酒キャパシティ向上を促す等、獅子奮迅の活躍を見せている元祖・太っちょ忍者スラッガーとは、何を隠そうこの男だ。ニンニン。
今回の試合も、もはや監督と見まがうほどの威風を携えてベンチから試合展開を見つめていたこの男、遂に文字通り重い腰を上げる時が来たのである。
相手のボールを見極めたとばかりに、振り抜いた4球目。ややミスショットに見えたが、これも三木同様に外野手の前に落ち、また相手の守備がもたつく間に2塁を陥れた。この間に、盗塁を決めて2塁にいた三木が一気に生還、2-1と一点を返すことに成功した。
続くは3番大石。甘い球は逃すまじとバットを振り抜くと、ショートの頭を抜くミサイルの様な打球がレフトを襲い、更にレフト迄ぶち抜くというテポドンも裸足で逃げ出す爆速ミサイルライナーヒットを放った。一説によると、グランド横に位置する軍事施設が打球をミサイルと誤認して一瞬ざわついたらしい。
とにもかくにも、このヒットの間に、塩谷の代走で入っていた長倉がホームを踏み、土壇場で2-2に追いつき、なおも1アウトランナー2塁の好機が続く。
そして迎えるは、4番に座る筧。一打サヨナラのチャンス、この男の双肩に期待がかかる。上海では企業の総経理を務め、公私ともに東奔西走、忙中有閑を野球に捧げるヤンプターズ古参の一人。得意分野は交渉術。相手ピッチャーとの駆け引きをうまく制することが出来るか。
グラウンド全員の視線を背中に背負い、迎えた第一球。放たれた打球は決して力強い打球ではないが、それでも確たる意思を持って転がっていく。そして、前進守備を敷いていた野手の間を抜ける―――
主砲・筧の放った一打により、最終回1アウトの土壇場から見事に逆転を果たし、この試合に終止符が打たれた。
ヤンプターズはリーグ戦最終節を華麗な大逆転劇で飾り、チームの底力を見せつけた。
決勝トーナメントへの出場こそ逃したものの、全員で掴み取ったこの一勝は間違いなく次シーズンへの橋頭堡となるだろう。
更に勢いを増すヤンプターズ。次節、更には
次シーズン、我々の大逆襲劇が始まるのである。
(写真①:プレイボールを控えるヤンプターズ)
(写真②:サヨナラ打を放つ筧)
(写真③:弾丸ミサイルを打ち込んだ大石)
(写真④:攻守共に輝きを放った三木大明神)
(写真⑤:ボールを見極める塩谷)
(写真⑦:ボールをぶっ潰すGODZILLA・中邑)
(写真⑧:種田ばりの豪快なスイングの中西)
(写真⑨:ヤンプの誇る絶対的エース・椿)
(写真➓:横手投げモーニングムーン・山下)
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